民法「勝手にやった代理行為」

法律

代理とは本人のためにすることを示して、本人の名において相手方に対して意思表示をし、また相手方から意思表示を受けることによってその法律効果を債権的にも物権的にもことごとく直接本人に帰属させる制度

 

をいいます。

いわゆる許可を得て、正式に本人の代わりにする行為のことです。

代理が必要な人は制限行為能力者(未成年・成年被後見人)はもちろんですが

法人の代表も職務上必要ですし、

任意代理ということで誰でも時と場合によってあり得ます。

 

代理には代理権と代理行為の二つが揃って正式に代理として成立します。

 

では本人に頼まれていないのに勝手に代理行為をしたらどうなるでしょうか。

つまり代理権がない場合の代理行為ということです。これを無権代理といいます。

 

例えばAが所有している土地があり、BがAの代理だとしてCにAの土地を売ったとします。

もちろんAはBに代理権を与えていないため勝手に自分の土地を売られたことになります。

こうなると代理行為(この場合売買契約)の効果は本人(A)には帰属しません。

しかし取引の保護、つまり何もしらずに土地を買ったCも保護しなければなりません。

 

さてそこでいくつか手段があり

この無権代理の事実を知った時にAが採ることができるのは3つです。

①追認(113条)

②追認拒絶(113条2項)

③何もしない

 

事実を知った後に何もしないということをあえてすることも、民法上は許されています。

追認はその契約を有効と認める。つまり土地の所有権はCに移転します。

追認拒絶は契約を認めない。つまり無効となるので所有権はAのまま。

では何もしないというのはCからすると大変こまります。

 

そこで相手方も次の4つの手段をとることができます。

①催告(114条)

②取消し(115条)

③無権代理人の責任追求(117条1項)

④表見代理の主張(109、110、112条)

 

ちなみに本人に催告をして、期限までに返答がなかった場合は自動的に追認拒否をしたものとみなされます。

 

ですがこれらは本人と買主との関係です。

1番悪いのは無権代理をしたBですね。

もちろんBへの責任追求があります。それが117条にあるのですが

無権代理をし、そのことについて本人からの追認がない、また相手が取消権を行使していない

そして相手方が無権代理であることについて善意無過失である場合

 

相手方は無権代理人に履行又は損害の賠償を請求することができます。

 

この場合の履行となるとお金を払ったのだからしっかり登記をこちらに移せということですね。

Aがそれを了承するならば追認をしているはずなので、まず損害賠償の請求になってきます。

 

この無権代理は二重譲渡と非常によく似ています。

行為に代理表示があるかないかというところですが、効果はほぼほぼ同じです。

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