罪刑法定主義
罪刑法定主義とは
罪刑法定主義とは
どのようなことをすれば犯罪となり、それにはどのような刑罰か科せられるのか。
これをあらかじめ法律で明らかにしておかなければ人を処罰してはいけないという原則です。
この「あらかじめ」というのが自由主義の理念に基づき、「法律で明らかに」というのが民主主義の理念に基づいています。
これは今までの古典学派や近代学派を経て、今日の国家に共通する当然の原則となっています。
確かに法律で定められていないのに、その行為を横からでてきて刑罰を与えるなど理不尽すぎます。
これは日本国憲法でもその根拠が表れています。
憲法31条「法定の手続の補償」
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
憲法73条6号ただし書「内閣の職務」
特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
憲法39条前段前半「遡及処罰の禁止・一事不再理」
何人も、実行の時に適法であった行為ーーーについては、刑事上の責任を問はれない。
派生原則
罪刑法定主義は「法律でしっかりとその行為と刑罰を規定しておく。でなければ罰則は科せられない。」
もちろんこれが全てなのですが、それだけでは説明のつかない場面は当然にあります。
そこでこの罪刑法定主義をもとにした、派生原則がうまれてきます。
・法律主義と慣習刑法排除の原則
法定とは成文法に定めることをいうこととなります。
民法とは違い、慣習法や条理などで刑罰を科すとかつての身分の差によって大きく刑罰が異なっていたように、相手によってその刑罰に差が生じることとなるからです。
即ち恣意的な刑罰権行使の危険が生まれるということになります。
そのため国会の議決によって制定された法律でなければならない法律主義。
そして法律によらない慣習刑法は排除される慣習刑法排除の原則がうまれます。
・不定期刑について
不定期刑とは刑期の期間が明確に定められていない刑罰のことをいいます。
その中でも全く刑期を定めない自由系(絶対的不定期刑)は禁止とされています。
これは罪刑法定主義(刑罰にあたる行為と罰則を明確に)の原則に背くからです。
しかし一定の長期・短期を定めた自由刑(相対的不定期刑)はこの趣旨に反しないので許されます。
(少年法52条)
・類推解釈について
民法ではあらゆる論点で類推解釈がされてきました。
しかし刑法では恣意的な解釈がなされてはならないため、このような類推解釈は原則禁止されています。
しかしのしかしですが、原則あるところに例外有りです。
そもそもこの類推解釈の禁止というのは被告人の人権保障のために定められたものです。
そのため被告人のためにという趣旨そのままに、被告人に有利に類推することは許されます。
つまり法の文言そのままにあり続けるのではなく、
法の予想しうる限度で、しかも罰則も妥当である実質的な解釈まで禁じていないということです。(目的論的解釈)
これは類推解釈は許されないが、拡張解釈は許されるということです。
派生原則の判例
・目的論的解釈による拡張解釈
大判S15.8.22
ガソリンカーを転覆させた事件であるが刑法129条の「汽車」にあたるとした。
最判H8.2.8
カルガモをクロスボウで殺傷しようとしたが、矢が外れた行為において旧鳥獣法1条の4第3項、昭和53年環境庁告示43号における3号りが禁止する弓矢を使用する方法による「捕獲」にあたるとした。
・類推解釈の許されない判例
最判S30.3.1
人事院規則14−7「政治的行為」5項1号にいう「特定の候補者」に「立候補しようとする特定人」が含まれるかという事案で、含めることは類推解釈にあたるとして否定した。
・(かつて)争いのある場合
最判S51.4.30
文書偽造材の客体である「文書」に原本ではなく文書の写真コピーも含まれるかという事案。
学説は類推解釈になるいうのが有力だが、判例は文書に含まれるとした。
現在は明文化されている。
ここ最近のこと
ここ最近はめっきり体が動かずという日が続いておりましたが
だんだんと体も回復してきました。
こうして徐々に勉強も進みブログも再開中です。
原因はやはり気圧。そしてなにより動く時間が格段に減りました。
動くからどんどん色々な行動ができますし、それが減ると減る方に進みます。
ですから仕事に毎日行っていた時の方が勉強は毎日できておりました。
逆に仕事もだらけたら勉強もだらけていきます。
これは手を抜いて、これはちゃんとというのは難しい。
人はマルチタスクができるようにできていないそうですが
本当にその通りで、何をするにもその気の入れようも一方向にはどんどん進めます。
そのため、生きていく中で大部分をしめる時間になる仕事。
これがちゃんと最低限気の入るものにしないと色々と負のスパイラルになっていきそうです。
もちろん他にも大きなパイを占める友人関係や家族というのも同じことが言えると思います。
まだまだ頑張ります。
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