民法「転借人」

法律

賃借権とは賃借人の権利であり、賃貸人よりも弱い立場になる賃借人を守る趣旨で借地借家法がありました。

賃借人は部屋を借りている立場ですので、完全に賃貸人に生活を握られていると言ってもいい状態にあります。

ですので賃貸人の事情で一方的に契約解除などとなると大変なことになります。

 

例えば賃貸人と賃借人だけでなく転借人もいた場合なんかも同様です。

転借人とは賃借人から賃借権を転貸された人なのですが

AがBのマンションの一室に住んでいるとします。この場合住んでいるAが賃借人でBが賃貸人です。

ですがAは実家に戻ることにして、Cに同じ家賃でそこに住むということをAC間で決めたとします。

お金を払っているのも実際に住んでいる(占有している)のはCですが契約はAB間での賃貸借契約です。

この時のCは転借人となります。

 

ではAはこのまま住居を正式に実家にすることにしてAB間で合意の上で契約を解除した場合です。

Cも前もってそのことを承知であるならばもちろん何の問題もないのですが、Cの知らないところでそう言う話になっていたならCとしてはいきなり何の準備もなく住居がなくなるわけですから大変です。

 

そこで賃貸人と賃借人が原賃借権を合意解除してもこれを転借人に対抗できないこととなっています。(613条3項)

つまりCはそのまま住むことができます。

ただし、解除のときに賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは対抗できます。

債務不履行による解除権を有するということは、家賃の滞納が原因で解除となるということです。

この債務不履行は転借人にも問題があると言えばありますし(CはBにしっかり家賃を払っていたのにBはそれをAに支払わず懐にしまっていることもあり得ますが)

いずれにせよ、収益がないのに住まわせ続けるのはそれはAが不憫すぎます。

 

契約したのと違うやつが住んでいる。でも何の問題も起こってないしお金もちゃんと払っているならいいやんっていうことです。

 

賃借権は当事者同士(賃貸人と賃借人同士)の間以外での第三者が絡むことがあります。

この第三者への対抗力ですがやはり登記がなければ対抗できません。(605条)

たとえ身内同士の土地で、現地をみればわかるようなものであっても、しっかり本人の登記でなければ対抗力は認められません。

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