刑法「同意の上での行為への刑罰」

法律

刑罰はまず結果の発生、そして故意があることが大事な要件でした。

殺人なら相手が殺された(死んだではない)という事実と、殺すという意思の二つが要件になるということですね。

ではここで相手から同意の上でならどうでしょうか。

そこに故意はないので、当然構成要件は成り立たなくなってしまいます。

かといってじゃあ罰さないということでいいのでしょうか。

 

これはその行為が正当行為となるか、特段の事情で違法性が阻却されるかということが論点になります。

正当行為とは、その行為が社会的に許されている行為のことです。

社会的に許されている障害行為はたとえばボクシングや医療行為、正当防衛がありますね。

実際に刑法では

35条(正当行為)

法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

 

とあります。

ですが法令または正当な業務以外はどうなんでしょうか。

それも被害者の承諾など違法性を欠く場合があり得ます。

ですが、これ以外の行為は罰しないとは条文には明記されていません。

そのためそれ以外の解釈条認められる、違法性を欠く場合を超法規的違法性阻却事由と構成するわけです。

超法規的措置とは条文には明記されていないが特別な事情で認めるというものです。

 

さてそれでは相手が同意の上での法益侵害はどうなるのでしょうか。

例えば、気持ちよくなるから首を締めて欲しいと言われたので首を締めて性行為に及び、そのまま死なせてしまった。

もちろん死なせるつもりもなければ、これで死ぬとは思ってもみなかったときです。

 

実はこれはある程度の罰則はあります。

但し殺人の故意はないので殺人罪にはなりません。

しかししかし相手はしめて欲しいということに同意してした行為です。これを罰していいのでしょうか。

これはどこまでを同意したのかということが論点になります。

 

相手は首を締めて欲しいということに同意しましたが、決して死ぬことまで望んでいません。

これは過失によって死という結果をもたらしてしまったといえるのです。

そのため過失致死が成り立つということですね。

 

ほかにも色々な場合によって、違法性が阻却されたりされなかったりとあります。

さてこの例えばでいった事例ですが、調べてみたら意外にも結構ありました。

 

以下過去の判例など

オーストリア首都ウィーン(Vienna)のホテルで昨年、SM行為を依頼した男性(45)がロープと靴ひもが首に巻き付いた状態で死亡しているのが見つかった事件で、男性の依頼に応じた売春婦(29)に26日、有罪判決が言い渡された。

被告は男性の身体を意図的に激しく痛めつけ、結果的に死に至らしめたとして有罪とされたものの、減刑に値する状況があったとして、執行猶予付きの禁錮2年が言い渡された。〈以下略〉

 

 大阪高裁昭和29年7月14日判決

被告人が、被害者の女性との性交中に被害者の承諾を得て、快感を高める目的で、被害者の喉を手で絞めて窒息死させたという事案で、裁判所は、首を絞めることは(本件では殺意がなく)「暴行」であるが、同意があるので違法でないといえるが、生命に対する危険を防止すべきであったとして、過失致死罪を認めました。

 

 大阪高裁昭和40年6月7日判決

被告人は、妻から性交中に快感を高めるために首を絞めるように懇願され、ひもで妻の首を絞めながら性行為を行ったところ妻が仮死状態になり、適切な応急措置を取らずに死亡させたという事案で、裁判所は、本件のような被害者の承諾は善良な性風俗に反するものであるが、さらにひもで絞めるという行為は調整が難しく、窒息死に至る危険性は高いとして、傷害致死罪を認めました。

 

 東京高裁昭和52年11月29日判決

被告人が、性交中に被害者の承諾を得てナイロン製バンドで首を絞めて死なせてしまったという事案で、裁判所は、行為が違法でなくなるためには被害者の承諾だけでなく社会的に許容されるかどうかの観点から検討することが必要で、本件のように、首を絞めるという行為は被害者を窒息死させる危険が高く、しかも当事者同士にその危険性の認識が薄いこともあって、とうてい社会的に許されるものではなく、傷害致死罪に当たるとしました。

 

大阪地裁昭和52年12月26日判決

被告人は、性行為の最中に被害者をロープで縛るなどしていたが、喉を強く縛ってしまい、窒息死させたという事案で、裁判所は、その行為が相手の生命や身体への重大な危険性をや身体の重大な損傷の危険を包含しているような場合には、違法性は否定されないとし、傷害致死罪の成立を認めました。

 

大阪高裁平成10年7月16日判決

被告人は、風俗店から派遣されてSMプレイを行っていたが、本件被害者に気に入られ、800万円で下腹部をサバイバルナイフで刺して殺してほしいという依頼を受けて、請われるままに被害者が用意したサバイバルナイフで下腹部を刺して殺害したという事案で、裁判所は、被害者は死の危険性を十分に認識しながら、究極のSMプレイとしてナイフで下腹部を刺すことを依頼したのであり、真意にもとづいて殺害を依頼したとして、同意殺人罪を認めました。

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